青色申告所得が純損失となった場合

昨年は未曽有の自然災害にみまわれ、直接の被害は受けていないけれども、決算の結果が赤字となってしまった方は多いのではないかと思います。

 

青色申告をされている個人の方で、昨年の所得が純損失となった場合には、その純損失の処理に関して、次の2つの方法の選択ができます。

1.純損失の繰越し

事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。

2.純損失の繰戻し

前年も青色申告をしている場合は、上記1.の純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

 

いずれも確定申告の期限内に申告をすることが条件です。

 

3年間の繰り越せることは知っているけれど、一昨年分としてすでに支払った所得税が還付されるとは知らなかった。という話をよく聞きます。是非「繰戻し」の方も検討してください

 

ただし、所得税は繰戻し還付の制度がありますが、住民税の還付は受けられません。住民税は繰越しのみ考慮されます。繰戻すのと繰越すのとどちらが得になるかは、一昨年の税率、今年度以降の所得の見込みなどをよく比較検討する必要があります。とりあえず今年の資金繰りを重視する、という方針であれば繰戻しを選択することになるでしょう。

 

ちなみに、この繰戻し、本日時点で、国税庁の確定申告作成コーナーでは作成できません(1の繰越しの方はできます)。

下記の国税庁のリンク先から、PDFを打ち出して「還付請求書」を作成し、郵送もしくは税務署に直接行って手続きする必要があります。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200002.htm

 

e-Taxを利用すれば還付が早い!と国税庁がアピールしていることを考えると、未対応なのは残念な話です。