印税の取り扱いについて

●概算経費44%??

 

確定申告期間に突入し、ある方(科学者)よりこんな質問を受けました。

 

「科学者の原稿料は44%を経費にして確定申告できるらしいんだけれど、それって本当?」

 

このご質問の出所は、古~い通達【直所5-5昭和32年3月1日「印税および原稿料の所得標準率の適用について」】でした。

 

この通達【直所5-5昭和32年3月1日「印税および原稿料の所得標準率の適用について」】によると,(科学者の学術的著作物の)「原稿料等については70円の2割の14円をさらに必要経費として(30円+14円=44円)控除できる」のだそうです。

 

つまり、科学者でない方の印税及び原稿料については一律30%、科学者の印税及び原稿料については一律44%を経費にできる。ということを言っています。

 

ですが、この通達を適用できると力説している会計事務所のHPもあるようですが、この通達は現在は使えません。国税庁のHPにもこの通達はでておりません。現在、経費は実額で計算する必要があります。

 

研究所や教育機関にお勤めしながら、そこでの研究の成果等を著作物にまとめられていらっしゃる場合には、経費と言っても大きな額にはなかなかならないかもしれません。どのようなものまで経費となるのか、税理士の方にご相談されるとよいと思います。

 

なお、急に出版した書籍が売れるなどして、印税が増えた!という場合には、その所得に対して、低い税率を適用できる場合があります。ご相談いただければ検討しますので、お気軽にお問い合わせください。

 

●所得の分類

 

上述の研究所や教育機関などにお勤めしお給料をもらいながら印税や原稿料を受け取られている方の場合には、雑所得になります。雑所得は年20万円を超える場合のみ申告義務が生じます。ですからもちろん、事業税も消費税も課税されることはありません。

 

ですが、個人で事業をされている場合で、その事業を営むことで得られる知識や経験等に基づいて発生した印税等の収入(原稿料、印税、講演料、出演料、著作権料、講師料等)はすべて事業所得となります。したがって、所得税のみならず、事業税も消費税も課税の対象となります。

 

サラリーマンと個人事業主とではこんな違いもあるのですね。